雀荘での仕事内容
雀荘でのメンバーの業務内容は大まかに
などです。
パッと見どこの店でもありそうな内容ですが1個1個にボチボチ爽やかな闇が潜んでいます。
今回の記事では雀荘での金銭のやり取りについて書かれています。
賭博行為で違法なのでは?という疑問もあるでしょうが、当然バッチバチの賭博です。
令和2年に元検察庁の幹部や新聞記者が賭け麻雀に興じて話題になりましたが、金銭を賭けた時点で賭博です。
実際問題見逃してもらっている部分も多くあったりします。
なので、その辺りのグレーというかブラックな部分も色々とやり方を工夫している部分もあります。
その辺も含めて順番に書いていこうと思います。
業務内容を説明する前に、当時の僕が雀荘に入店から辞めるまでに置かれていた状況を大雑把な時系列順に軽く書いておこうと思います。
- 時給860円
- パチスロ4号機時代で狂ったように消費者金融に手を出し5社焦げ付かせる
- 初月給料マイナス6万円
- 家賃が払えず電気、ガス、水道を止められるフルコンボ
- 結果、賃貸を追い出され家具などは店長の家に、住む場所はメンバーの家などを転々
- 勤務中空腹を凌ぐためにお客さんに提供するアイスコーヒーなどにシロップを大量に投下し糖分とカロリーを補給する
- 当時マクドナルドがまだ安かった時代だったので、毎日マクドナルドで生活して2か月目に血を吐くも医者に行けず死を覚悟する
- 1回店で問題を起こし1週間ぐらいホームレス
- 飢えを凌ぐためにコンビニで板ガム手に入れてそれで過ごす
- 麻雀強くなってアウト減らすしかないという結果に行きつくも、お客さんからむしり取りすぎてバチクソに怒られる
- あまりにお金がなさ過ぎて、ホストクラブの体験入店に飛び込む(1勤務5000円)
こうしてみると今こうして、結婚して家建てて子供がいる生活が奇跡に思えるぐらいの生活をしていました。
この辺の思い出すだけでも吐きそうになる内容に関しては次の後編で書こうと思います。
また雀荘で働くメリットの中に、麻雀が強くなれるというものがあります。
最初のうちは不自由に感じますが、慣れてくるとそれが当たり前になり実力は間違いなく底上げされると保障します。
メンタルはゴリゴリ削られますが……
そもそも雀荘ってどんな感じなの?
初心者でも大丈夫?
そんな疑問をお持ちの方は前編を読んでいただけると、簡単ではありますが書かせていただいています。
お店の営業時間
僕の店舗ではAM10時オープンでした。
週末ならともかく平日は昼過ぎまで誰も来ませんので基本的に店の鍵を持つ店長とメンバー1人で十分でした。
なので基本的にお客さんが来るまでは店内清掃などで時間を潰すだけの簡単なお仕事に感じますが、後に書く閉店時間で一転します。
昼以降に仕事をさぼって遊びに来てくれるお客さんやフリーの学生さんがよく来てくれて、夕方仕事終わりに常連さんが来店してといった感じで、夕方以降が本番なイメージでした。
そして閉店時間ですが、風営法では原則として深夜12時から朝の6時までは営業できないので表向きは12時でシャッターを下ろしていましたが、お客さんが残っていた場合は関係なくシャッターを下ろした後も営業は続いています。
名目上は仲間内で遊んでいるという形で、警察が来ても言い逃れできるような体制ではありました。
基本的にはみなさん朝の5時か6時まで遊んで帰られる方が多かったです。
で、そこから店内の片づけなどはもう平日ならば開店時までずらしますが金銭の管理はそうもいかないので売り上げなどの集計を取ります。
なんやかんやで1時間ぐらいそこで潰れるので6時に閉店したら7時にようやくすべてが終わります。
そこから10時には店を開けなければならないので帰ってシャワーやなんやらをしていたら1時間寝られれば御の字です。
平日10時オープンしてからしばらくは暇ですが、逆に辛い。
週末だと開店と同時に来店されるお客さんもいるので帰らずに店で寝たほうが早いぐらいでした。
物品の補充や在庫管理
ここで言う物品は、お客さんに提供するフリーのドリンクやコーヒー用の豆、タバコなどです。
店舗でいくつかの銘柄のタバコ(お客さんの銘柄を把握して買いだめして保管しておく)があったので当時お金がなかった僕はよくくすねていました。
お金がない理由は後述しますが、当時は店のタバコや飲み物で生活していたレベルです。
卓が埋まらなかった時のお客さんの相手
これが当時お金がなかった2番目の原因でした。
店側としても避けたい事態でしたが、平日の朝一などにお客さんがお1人で来店された際はメンバー3入りで対応せねばなりません。
この場合厄介なのが、メンバーの負け分は給料から天引きな点、かと言ってお客さんを狙い撃ちにできない点などがありました。
メンバーが勝ってもゲーム代で400円削られ、お客さんにゲーム代払わせるにしてもメンバーが削られるしかなかったので、メンバー3入りの時点でほぼ詰みでした。
例えばメンバーが2人いたとします。
店側としてはマイナスが多いメンバーをできるだけ卓に入れず負担を減らしたいのですがメンバー2欠けだとそういうわけにもいかず打たざるを得ません。
知ってる範囲では個人での最大マイナス9万円のメンバーもいました。
時給から天引きされたうえで9万ですのでその月だけで15万円は負けていたはずです。
それも月の後半はできるだけアウトを増やさないようにメンバーが工夫してのそれでしたので、フォローがなければどうなっていたか考えるだけでも恐ろしい。
メンバーに課せられた制約
制約と言えば厳しく聞こえますが、内容としては至極当然の物で、卓上マナーから卓回しに至るまでいくつかの制限がありました。
1.引きヅモ、強打の禁止
ツモ上がる際に手前に引いて卓にカツーンと当てる動作と牌を切る際に強く叩きつける動作です。
あくまでもメンバーは勝ち負けに関係なくお客さんに楽しんでいただくための麻雀を求められるので、お客さんを威圧するような打ち方は禁止です。
2.即引っ掛け禁止
例えば上がり牌が3ピンの辺張待ちのときに6ピンを切っての即リーチは禁止でした。
1巡回してのリーチはOKでしたが、極力やらないように打ち回すことを叩き込まれました。
3.声出しの徹底
当時働いていた店は4人打ち、3人打ち共通で東南戦でしたので半荘の始まり、南入、オーラスで誰がトップか、ゲーム終了時の場面ごとに他のメンバーに卓の状況がわかるように声を出すことが求められていました。
4.ドリンクやタバコなど、お客さんの注文対応
清一色5面張聴牌、待ちはどこかだとか、メンツオーバーでどこから捌くかなどを考えている場面でもお客さんから飲み物などの注文が入れば店内のメンバーに聴こえるように「〇卓〇〇さんアリアリお願いします」などのメンバーとしての仕事も求められます。
麻雀だけ集中して打つのではなく、自分の卓やメンバーが入っていない卓のゲーム状況、来店されたお客さんの確認など、様々な状況判断が求められました。
バイトを始めた当初、これと次の5番目の制約が絡み合いなかなか上手くできずに麻雀でボコボコにされました。
5.打牌は遅くても2秒以内
麻雀界では有名な雀鬼流ではだいたい1秒と聞いたことがあるので2秒あれば十分余裕がありますがツモってから打牌まで遅くても2秒と定められていました。
4と5、さらに次の6で書く3つが組み合わさった時、慣れていないと麻雀は即座にボロボロになります。
切る牌は右端に寄せ、何を引いたら何を切るなどは他家がツモって切っての間に考えておかなければなりません。
理由としては、他のお客さんも次に引く牌で展開が大きく変わる中でメンバーがツモって「すいません」とか言って毎回長考されたら嫌になるというもので、麻雀はあくまで同卓者全員でゲームを作るので、1人がテンポを乱すことでゲームが中だるみしてしまうのと、サクサク卓を回して回転率を上げないと店の利益にならないというのがありました。
なので、多面待ちで待ちがわからない場合はとりあえず切って他家がツモって切ってをしている間に判断しなければなりません。
慣れると1秒でも余裕なぐらい早くはなります。
卓内の人間で3人が遅くても1人が早ければ自然と卓全体の打牌速度が上がるのでメンバーはできるだけ早く丁寧に打つことを求められました。
とはいえ、初のお客さんなどに配慮し、慣れていなければそれに合わせたスピードで打つようにはしていましたし、常連のお客さん方もその辺は理解していただいていたので、その点ではいいお店でした。
6.見せ牌、チョンボの裁定
見せ牌とは、自分の手牌をうっかり倒してしまった場合、それが5萬だとするとその牌では上がることができないといったものです。
この辺の取り決めは店によって様々ですが、僕の店ではその牌では上がれないというものでしたが、それが1つならばいいのですが5つくらいパタリとされたときは地獄でした。
覚えておこうとしているうちに自分もその牌では上がれないと勘違いした手組をしてしまったり、忘れてしまったりと困らされた記憶があります。
あとはチョンボですが、誤ロンなどはマンガン払い、コシ(ポンやチーなど発声しようとピクリとしてしまう動作)は上がり取りの場に1000点供託という扱いでしたが、5の打牌は2秒以内と組み合わさると意外とやってしまいがちでした。
7.初手や特定牌の制約
第1打に風牌(東、南、西、北)の禁止
これは四風連打(4人全員が同じ風牌を第1打に切り流局となる)を防ぐようにします。
親がメンバーで要らないからと軽率に切ってしまうと四風連打をお客さんに意識させない為です。
基本的に僕の店舗では、第1打に安易に字牌を切らない(他家に鳴かれるのを警戒して絞る)ドラは聴牌まで抱えるといった制約がありました。
この仕事をして、牌を大事に扱うという言葉の意味を覚えました。
8.賽振りの結果は誰よりも早く発声
例えば自分が親で対11を引いたとします。
その場合は即座に対11、6残しでお願いしますと発声しなければなりません。
これはお客さんが親で賽振りをした時も同様です。
そしてこれはお客さんもメンバーもそうでしたが山を斜めに前に押し出す、嶺上牌は崩しにくいように降ろす、角・角で残った場合は取りやすいように次の山にくっつける、これは暗黙のルールでした。
9.捨て牌は6枚で次の段
河の捨て牌は枚切ると次の段に切るように定められていました。
お客さんよりも綺麗に河に牌を並べるのは当然で、汚いと即座に指摘されるほどに厳しかったです。
10.第1打は理牌するよりも先に
これは自分が親だとした場合、理牌より先に不要牌を判断しすぐに切ることで下家のお客さんが待つことなくすぐに切っていただけるように行います。
親だろうが南家だろうがこれは絶対でダブリー配牌でも何でもすぐに切ります。
自分が親番で理牌でもたついてお客さんを待たせるのは論外で配牌で手牌がバラバラでもすぐに判断して切ることは初歩でした。
その中でうっかりドラを切ってしまったり必要牌を切ってしまったりと、様々なミスをしましたが慣れればそんなに難しくはありません。
こういった動作の積み重ねでスムーズな卓回しができるようになっていきます。
11.フリー卓1ゲームにつき毎回の順位と得点表の作成
これは卓についていようがいまいが管理していました。
紙に順位を書き、誰からゲーム代をいただいたかわかるようにするための物で、後述するお金の管理で必要になってきます。
たまにお客さんが半荘5回で自分がどういう着順でゲームを進行しているのか尋ねられるときにも使用します。
同卓している時はこれを書きながらゲーム代をいただいたり、次の半荘に移る前に飲み物や休憩の有無を確認したりします。
とはいえ、慣れていないうちは地獄
こうやっていくつかのメンバーに課せられた制約を思い出せる範囲で並べましたが、どれも当然のことだと今では思いますが、当時はそれのいかに難しかったことか。
正直3か月目まではこの制約で思うように打てず。連続でアウトを切り給料がマイナスでした。
仲間内で多少強くてルールも知っている程度の気持ちで飛び込んで、いざ店内ルールを意識して打った時の自分の配譜はなかなかひどいものでした。
なぜそこでそれを切った?なぜそうなったの連続でそもそもの基礎ができていないとボロクソに言われたのを今でも覚えています。
そこで、負けているくせにロン毛のプリン頭でイキッている感が凄く嫌で入店1月目で丸坊主にして再出発を図りました。
お金の管理
店でのお金の動きはドリンクやタバコなどの物品の買い出し、ゲーム代、貸し卓のレンタル代、チップがメインでした。
物品やゲーム代(フリー卓の半荘1回400円)と貸し卓のレンタル代はシンプルですが、問題はチップ。
これはフリー卓のお客さん限定で、まず入店時に基本10000円(知らずに5000円しかない場合は臨機応変に対応)一時お預かりし、チップに交換します。
当店はチップ制だったので赤・裏・一発・役満賞・ゲーム代・半荘ごとの精算のやり取りを全てチップで行っていました。
この10000円分のチップが溶けたらまた追加でチップを購入していただき、退店時に手持ちのチップを現金に換算するというものでした。
メンバーも同じように10000円分のチップを持たされてお客さんと対戦するので、10000円より浮けば給料+勝ち分でウハウハです。
当然ですがゴリゴリにアウトです。
ですが、万が一警察の巡回が来た際は金でなくチップで扱っています?お金?賭けてませんよ?のていです。
ちなみに警察の巡回が来たことはありません。
こうして、その日の収入と支出を割り出し、金庫内のお金照らし合わせていました。
前述したように僕や他のメンバー、店長やオーナーがちょいちょい金庫のお金やタバコなどの物品をパクっていたので当然合うはずもありませんが、その日チップで浮いたメンバーはこっそりと補填したりしていたのでもはや暗黙の了解で無法地帯甚だしかったですがそれで命を救われていた部分もあったので当時は何も言うことはありませんでした。
前述した半荘ごとの着順を書いた紙や買い物のレシートなどがお金を照らし合わせる証拠ですが、こうなってはもはや無意味です。
店内清掃・牌や卓の清掃
この部分に関しては至極まともで、店内の窓ふき、床の掃除機がけや店の前の掃き掃除がメインで特に書くことはありませんが、卓や牌の清掃は基本的に負けが込んでいるメンバーや慣れていない入りたてのメンバーがやらせてもらえることが多かったです。
こう書くと皆がやりたがっていたように感じるかもしれませんが実際その通りです。
卓の清掃は自動卓全体の拭き掃除、点棒の拭き掃除ですが、問題は牌の清掃です。
やり方は自動卓から全ての牌を出し適当に並べ、裏面→牌を全部起こして上面→牌を全部倒して表面→、もう一度ひっくり返して下面→横に全部倒して左面→牌を全部2回転がして右面。
これでワンセット。
全自動卓は2種類の牌がセットされており、ゲーム中Aの牌が終わり、次のゲームに移る際にBの牌が自動卓から現れ、その牌でゲームをしている間にAの牌が卓内で混ぜられ、セットされて次のゲームに備える仕組みになっています。
なので、清掃も2種類の牌を清掃する必要がありますがなぜこの業務が人気だったかというと、練習できるからというのが大きかったです。
この作業をしている間は基本的に店が暇な時間帯であることが多かったので、この作業をすることで牌の扱いに慣れたり、前述したようにツモってから切るまでの時間を縮めるための練習をしたりと様々でした。
なので、この作業は負けが込んでいるメンバーや入って間もないメンバーにやってもらうことが多かったです。
要は練習する機会を与えるという意味合いが大きかったです。
後はオカルトではありますが、牌や点棒を大事に扱うと良い牌や点棒が寄ってくるというジンクスも込められています。
こう聞くと効率派の雀士やアンチオカルト派の方から失笑されそうですが、仕事として麻雀を打っていると、そういったものにでも本気で縋りたくなるのです。
来店予約などの電話対応
後は来店予約の電話ですが、これはフリーの常連さんか貸し卓の予約電話であることがほとんどでしたが、ごく稀に新規のフリーのお客さんの場合もあったのでその場合は店内ルールの紙を見ながらいくつかの確認事項をお伝えしたうえでご来店していただけるようにしていました。
何度かあったのですが、店に来てから店内ルールを知りそんなルールで打ちたくないと帰られるお客さんがいました。
基本的に大手チェーン店のルールを参考に店内ルールを設けていたので、どこの店に行っても同じルールなのですが、去る者追わずで丁寧に対応させていただいた思い出があります。
まとめ
当時は死ぬほどブラックだなと思って、前編・中編の記事を書いてますが喉元過ぎたのか今から思えば内容としてみればそこまで酷いものでもないなと思っています。
お金が欲しくてバイトしているのに何故か給料日に6万円支払う不思議。
というのも、負けたのだからまぁそりゃそうかと今では思えます。
僕自身麻雀が好きで選んだ仕事だったので、生活とか金銭感覚とか常識とか倫理観とかその辺のものは綺麗さっぱりぶっ壊された点を除けば楽しい仕事でした。
後は、いかに仲間内で打つ麻雀やゲームでの麻雀が自由で人に迷惑をかけてしまったかな?と考えれるようになります。
今自分がゲームや仲間内で強い方だと自信をお持ちならば是非雀荘で、フリーを体験していただけたらと思います。
たまに本気の化け物と出会えます。
後は、強い相手と対戦することに喜びを感じられる体に魔改造されます。
実際にレベルが3つも違う相手と対戦すると勝ち負け度外視で説明できない楽しさを感じることができます。
とはいえ、前編では雀荘とはどういうところなのか?という内容で、中編では雀荘で働くメンバー視点での内容でしたので、後編では完全に個人の内容になると思います。
借金まみれになったり、住む場所を亡くしたり、ぼかして書くかいっそ書かないか悩むぐらいブラックな出来事があったりと今思い出してもウヴァァァァァァァァってなるような内容ですが読み物としてはなかなか楽しい物にはなるかな?とは思います。
ちなみに、僕が働いていた店の付近には今でも近づきたくありません。
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